株式会社LAZARUS(ラザロ) - 大阪市中央区本町の歯科技工所株式会社LAZARUS(ラザロ) - 大阪市中央区本町の歯科技工所

ACTIVITY / 活動報告

2017-03-01 21:11:00

近況報告・歯科技工士の『開業』について

 こんにちは、「平成の火野正平」こと村田彰弘です。 先日、弊社に置くことのできる最大限の数の技工机を納入いたしました。 とは言っても、一気に人が増えるから入れたわけではありません。

 開業当初に入れた技工机が生産中止になるというわけで、生産中止になる前に急いで購入したというだけです(笑)。 なんか技工机は色や形を統一したかったので。

 変なところにこだわりがある私です。

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 1年ほど前、移転してきた時は「だだっ広いな〜〜」と思ったもんですが・・・・・

 ・・・・・既にクソ狭くなってきましたよ(笑)。

 

 意味はないんですが、下画像は7年前に最初のテナントで開業した時の写真です。  いや〜懐かしいな・・・。 右奥に同じ机が見えます。

DSC_0032.JPG

 

 さあ、せっかく入れた机だし、使わないのも勿体無いので、早く埋まるように頑張ろうと思います!

 


 

 最近は、私の同年代の歯科技工士で独立する人達はすでに開業しきった感があり、同年代での開業はあまり聞かなくなってきました。 そうなると次に開業していくのは、30代の私の後輩たちの世代ということになります。

  私も立場上、若い技工士から結構開業の相談を受けることがあるのですが、ここで一つ思うことがあるので今回はそれについて書きたいと思います。

 

 よく若い技工士さんが望む開業形態に、『間借り開業』というものがあります。 間借り開業とは、技工所や院内ラボの机をひとつ借りてその分の場所代を払い、そこの器材(場合によっては材料も)を使わせてもらいながら個人的に外注を受けるという独立方法です。

 そのメリットとしては、初期投資を最小限に抑えることができるので、仕事が集まらなくて失敗した時のリスクを最小限に出来るというところでしょうか? うまくいって仕事が集まれば、資金が貯まるまでそこで頑張って、ゆくゆくは自分の事務所を開設できたらいいというところでしょうか。 デメリットとしては、使わせてもらっているという立場上、少し肩身が狭い時があるといったところでしょうか。

 

 

 まあ色々あると思いますが、私はこの『間借り開業』という考え方が好きではありません。 特に自費専門ラボを作るなら、間借りはどうかと思います。

 個人的には間借り開業の技工士は、「開業している」ということにはならないと思っています。

  

 

 まず、自分の城を持たずに間借りする大きな理由は、『開業資金がない』ということだと思うんですが、そもそも個人ラボを開業する程度の資金を用意できないようなら、開業なんてしないほうがいいと思います。 

 夢を持って計画的に開業準備をしていたら、その程度の資金(全額は無理でも、借り入れをするための資金)は用意できるはずです。 それが出来ない時点で、開業する段階ではないということです。

 

 もう一つの理由は『リスクを負いたくない』ということだと思うんですが、そもそも開業なんてリスクの塊です。 来月も今と同じように仕事が来る約束なんてどこにもありません。  事実、弊社のスケジュールは、3週間後は真っ白です(笑)。

 もしリスクを負いたくなければ、技術を評価してもらえるラボでその腕をふるうべきだと思います。 

 今の時代、一昔前と違い必ずしも『技工士=独立』という時代では無くなりました。 勤務されている技工士でも、技術を認められれば十分に活躍できる時代になったと思います(実際にそういう技工士さんもたくさんいらっしゃいます)。  もちろん、勤め人としての大変さはあると思いますが、少なくとも独立に比べると様々なリスクはだいぶ少ないと思います。 

 

conquer-fear.jpg 

 

 

 ところで我々歯科技工士の取引相手といえば、言うまでもなく『歯科医』です。 歯科医は開業するのに何千万、もしくは億以上の金を借金して歯科医院を作るわけです。 技工士の開業資金とは桁が違います。 間借り開業をしている歯科医は私の知っている限りでは1人もいません(ちなみに間借りと歩合は違います)。

 

 その歯科医が、やっと作った医院に来てくれた患者さんに必死にコンサルをして、『自費補綴』という高額な仕事をやっと掴んだ時に、『間借り技工士』にその仕事を頼みたいでしょうか? 

 仮に私がドクターなら、何のリスクも負ってない人間より、どんなに小さくても、たとえ自宅の一部屋であったとしても、覚悟を持って自分の城を構えて頑張っている人間にお願いしたいと思うでしょう。  少なくともその2人が同じ技量なら、前者を選ぶことはないでしょう。

 

 恋い焦がれた女の子をやっとデートに誘う事に成功した時、フードコートにその彼女をエスコートするでしょうか?

 

 開業のデメリットである『リスク』は負いたくないけど、開業のメリットである『お金』と『自由』は欲しいというのは・・・・どうも都合がいいような気がするんです。

 

 ちなみに一般業界の開業に比べると、我々技工士の開業はだいぶリスクは低い方だと思います。 

 

5年

・・・・・・14,8%

10年 ・・・・・・6,3%
15年 ・・・・・・0,4%
30年 ・・・・・・0,021%

 

 上記の数字はなんだかわかりますか? これは、世間の企業の生存率です。 倒産率ではありません。 100社起業したら、10年後には6社しか残ってないんです。 残りの94社は倒産するんです。 

 

 一般社会での開業というのは、ここまでリスクのある行為なんです。 

 

 でも、技工所ってこんなことはないですよね? これだけ見ても、技工所開業っていうのは世間の起業に比べると『安牌』な訳です。 これだけ安牌の状態であるにもかかわらず、さらにリスクを避けたいと考える人は、そもそも開業に向いていないのでは・・・? と、私は思ってしまいます。

 

 開業して自分の城を持ち、さらにその上スタッフまで迎えることになれば、本当に色んなことが巻き起こります。 想像もしていなかったことのオンパレードです(笑)。 おそらく、どんなに余裕のありそうなラボの社長でも、気持ちの中では、『常に後ろは水際』という状態だと思います。

 

 そして、経営をしていると必ず「一切甘えがきかない状況」が訪れます。 そんな時、最初にリスクを選択している人間は頑張れるんですが(というより、頑張らざるをえない)、最初のリスクを避けた人間は踏ん張れない人が多いんじゃないかと思います。  

 リスクに対する耐性ができていないわけです。  『覚悟の差』ってやつです。

 

 それくらい、『退路を断つ』という行為は重要だと思っております。 

 

 もちろん、そんなことは言ってもどうしても間借りでスタートしないといけない時はあると思います。 そんな時に私が後輩にアドバイスする時は「期限を決めたほうがいい」と伝えています。 ダラダラいってしまうのは良くないと思います。 個人的には、どんなに長くても1年かなあ・・と思っております。

 

 そんな私も、実は自分のラボを工事している時に仕事をするため、先輩のラボを1ヶ月だけ間借りさせて頂いたことがあります。 ちなみに、私が全然お金がない事を知ってらっしゃった先輩は、間借り料金を一切受け取りませんでした。 

 ・・・・あの時は本当にありがとうございました!!

 

 

 近い将来、そろそろ弊社を卒業して独立する人間も出てくると思いますが、弊社の奴らには「間借り開業から始める」なんていう、中途半端なアホたれた事は一切認めませんし、そもそもそれを選択するような奴もいないでしょう。

 

 

 最近色々ありまして、ちょっと考える事があり私なりの考え方を書きましたが、少しでもこれから開業を考えている若い人の参考にしてもらえると幸いです。  

 

 

 

 

  

 

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