ACTIVITY / 活動報告
いきなりですが、以下の音楽を流しながら、緑字をマスオさんの声で脳内再生してください。
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こんにちは、マスオです。
日本では春の足音が聞こえてきそうな中、先日少し早い春休みを利用してベトナムのホーチミンに行ってきました。
いや〜〜文化の違いには色々ビックリしましたが、非常に楽しく過ごせました〜〜。
何度かサザエとタラオがバイクに轢かれそうになって、思わずライダーをぶん殴ってやろうかと思いましたね〜〜。
さて今回は
・驚愕のベトナム歯科技工事情
・ベトナムという国の常識に開いた口が塞がらない
・ベトナム戦争の歴史を目の当たりにして言葉を失う
の3本でお送りします。
・・・という訳で!!
実はマスオさんではなく(当たり前)、私ムラタが今回ホーチミン視察に行ってまいりました。
一気に全部書くとかなり長くなりそうなので、今回は本当に3本に分けて書こうと思います。 という訳で最初は『驚愕のベトナム歯科技工事情』。
私は東南アジアには結構行ったことがあるのですが(タイ・フィリピン・インドネシア・カンボジア・シンガポール・台湾等)、ベトナムは今回初めてでした。
コロナ禍で3年以上日本を出ることが出来ず、自分の中で限界に達していた時にちょっとした縁があり、今回ベトナムはホーチミンにお伺いすることになりました。
ベトナムの日本人経営者の方からメールを頂き、わざわざ実際に弊社に来て頂いてお話をする中で、あまりの自分との環境の違いに好奇心が爆発してしまい、ど〜〜〜〜〜〜〜〜しても現地を見てみたくなり・・・・・・・・今回お伺いする事になりました。
ラボは若き経営者である平根憲幸社長率いる『JADE』という技工所で、ホーチミンの空港から車で30〜40分くらいの場所にあります。
元々平根社長は中国で矯正専門ラボを開業されていたのですが(それも凄いけど)、2019年に歯冠修復やデンチャーも含めた総合ラボを、5500平米(約1600坪)の土地でいきなり150人の現地スタッフを雇用してスタートしたとのこと。
ちょっと日本では考えられない感覚です。 私なんて、1人目のスタッフ雇用の時は清水の舞台から飛び降りる感覚だったのに・・。
ただ例えば中国なんて数千人規模の技工所は普通で、8割以上がワンマンラボで成り立っている日本の歯科事情は、実は世界的には珍しい事なんです。
もちろんどちらが良い悪いではないですが、世界の流れを見ると今後日本もワンマンラボが減っていく事は容易に想像ができると思います。
さてそのJADEですが、2019年の夏に150人でスタートしたのですが、その後ご存じコロナパニックになりまして・・・開業してすぐいきなり大幅に人員削減しなければいけなくなったとのことです。
1人リストラするだけでもかなりしんどいことなのに、ホンマ想像を絶します。。。
ベトナムの就業事情は日本とは違い、郊外になると基本的に「住み込み」というのが当たり前になるみたいです。 社員食堂なんかも完備しないと、なかなかスタッフ集めは厳しいとのこと。
ちょっと驚いたのは、仕事のほとんどはアメリカを始めとするベトナム国外から受けているということ。 ただ実はこれも世界的には結構当たり前の事みたいです。
もちろん中国なんかはもっとグローバルに展開していますし、以前韓国北部のラボに行った時なんかは、北朝鮮からの補綴物作製依頼がたくさんあったのにビックリしたことがあります。
そうやって考えると、日本の歯科技工士は国家資格に縛られている側面もありますが、かなり守られていることにも気づかないといけないかもしれませんね・・・・。
仕事内容は、今でも意外とメタルボンドは多いとのことでした。
アメリカでは健康保険制度がなく、歯科治療を受ける人は民間の保険会社から補助を受けることになりますが、保険額によってはメタルボンドまでしかカバーしていない場合があるみたいで、アメリカでは今メタルボンドは日本でいうところの保険のパラクラウンのような位置付けなのかもしれません。
仕事は全て郵送で、日に何千本(!)という仕事が届くこともあるみたいで、中にはアメリカからアルジネート印象をそのまま送ってくるという嘘みたいな話もあるとか(笑)!!
弊社でも発送ミスというのがほんのたま〜〜〜にあったりしますが(京都に送るものを滋賀に送ってしまうとか)、ここでは「アメリカに送ったつもりが間違ってシンガポールに送ってしまった」ということもあるのだそう。
なんとグローバルな送り間違い(笑)。
機材は日本には無いようなメタルプリンターやCAD/CAM機器がたくさんあり、それはそれは圧巻でした。 全てのスケールが違いました。
プリントしたメタルの適合も非常に良く、かなり欲しくなってしまいました。。。
あとなんと言っても、日本との違いは「歯科技工士ライセンスが無い」ということです。 昨日まで違う仕事をしていた人が、今日いきなりセラミックを作る・・ということもあり得る訳です。
その分日本と違ってリクルートしやすいかもしれませんが、やはりクオリティコントロールは大変だろうと感じました。
ラボは非常に若い女性の方が多かったです。 1人「めちゃくちゃ若いなあ・・」と思った男の子は、なんと日本では中学生に当たる年齢でした。
ベトナムでは中学に行かずに働くのも珍しいことではないみたいで、ベトナム人は幼く見えるので最初「小学生が模型削ってる!!」と思いました。
ただやっぱり子供は子供なので、社長が築盛デモしてる時に社長の肩に自分の肘をついてきたり、社長の膝に座ってきたりする事もあるとか(笑)。
弊社でそんなことがあったらどんな空気になるのでしょうか(笑)。
また、リクルートで「日本と違うなあ・・」と感じたのは、スタッフが自分の恋人を紹介して一緒に働くというのがベトナムあるあるとのこと。 なかなか日本で自分の彼女を連れてくるのは聞いたことが無く・・。
恋人だけではなく、家族を連れてくることも多いみたいです。 ある人はお父さんを連れてきて、お父さんと一緒に働いているとのこと。
これは日本人の発想には無いですね・・・!!
あと驚くことにその会社には、「発送物を配送業者(ヤマト的な)に持っていくだけのスタッフ」や、「社内設備が壊れた時に修理するスタッフ」が専属でいました。
ただこれも海外の大手ラボには当たり前のようで、前述した数千人規模のラボだと、機材修理するスタッフだけで何十人といて、その専門部署があるみたいです。
これには事情もあって、日本のように機材購入した後のサポートが手厚くなく、その上結構な頻度で機材が壊れるので、自分達でなんとかしないといけないからとのことでした。
スタッフの勤務態度は国民性が出るみたいで、全体的にやはりどうしても日本人のように勤勉ではないみたいです。
ちょっと甘くすると言うことを聞かなくなるみたいで、今回ラボだけではなく色々みた感じでは、「国民全体が子供っぽい」という印象を受けました。
そこでJADEさんでは、ちょっと強面の厳しいマネージャーの方を置くことにより(私がみた限りでは非常に綺麗な女性の方でしたが・・)、みんなの統率が取れるようになったとのことでした。
あと、今回ラボ訪問して非常に嬉しかったことがありました。
1人日本語の話せるヴィン君という若者がいたのですが、その彼が私のQDTで連載しているコラムを読んでくれているとのことでした。
彼はカービングを熱心にしているのですが、周りがそれを無駄だと思う環境のようで、心折れかけた時にコラム第16回と17回の「石膏カービングから得られるもの」を読んで迷いがなくなったと言ってくれました。
まさか遠く離れたベトナムで影響を与えられているとは思わなかったので凄く嬉しかったです!!
ラボ見学の後、ホーチミン繁華街に出て飲みながら色々お話しさせて頂きました。
国は違えど、経営者としての悩みや楽しさは変わらないなあ・・・と感じ、非常に勉強になりました。
あと、「自分だったらこれは耐えられないなあ・・」という事もたくさん経験されながら、それでも涼しい顔で経営されている姿にはかなり勇気を頂きました。
正直ここでは言えないようなビックリする話も山ほど聞いたんですが、それは自分だけの「すべらない話」として大切に持っておこうと思います(笑)。
やはり現地に来て現地の人たちと話すと、ネットでは絶対出てこないような貴重な情報が得られます。
今後もラボにこもる事なく出ていきまくろうと改めて思いました。
平根社長、茂木さんありがとうございました!!
そして帰国してすぐ、京都の株式会社STF様に見学に行きました。
いや〜、近くに、そして日本にこんな圧倒的なラボがあったとは・・・。。。
藤松社長とは私が開業する前から顔見知りではありましたが、今回初めてゆっくりお話しさせて頂きました。
JADEの平根社長とSTFの藤松社長は、お二方とも私と同年代の方ですが、こんなに圧倒的な差を見せつけられると「嫉妬」なんていうくだらん感情は一切芽生えず、ただただ「憧れ」と「少しでも近づきたい」という1/3の純情な感情で一杯になりました。
パワーラックは単純に羨ましかったですが(笑)。
コロナでなかなか外の世界を見れない期間が長かったんですが、正直ずっとラボにいたら居心地はいいんですよ。
みんな自分の言うことは基本的に聞いてくれるし、やりたい放題しようと思えばできる。 裸の王様になるのは簡単なんです。
でもそれでは井の中の蛙になる一方なので、今後も圧倒的な人たちと会って劣等感と敗北感にまみれ、その先に更なる目標を作りたいと思う次第であります。
それではラボレポートはこのくらいにして、次回は『ベトナムの常識に開いた口が塞がらない編』です。
乞うご期待!!